相続の限定承認

相続人は、相続財産について、これを単純承認(民法920条)するか、限定承認(民法922条)するか、相続放棄(民法938条)するか、いずれかを選択する必要があります(民法915条1項参照)。ここでは、限定承認を選択した場合について考えてみましょう。
限定承認は、相続によって得た財産の限度でのみ亡くなった人の債務(遺贈)を弁済すべきことを留保して相続の承認をする(民法922条)ことをいいます。相続財産のうち、積極財産、債務の双方があるため、最終的に相続財産がプラスとなるのかマイナスとなるのか分からないときに、一応相続財産限りで債務を清算して、それでもプラスの財産があるのであれば、それを相続する場合に使われます。
司法統計によると平成25年の限定承認の申述受理の件数は797件(司法統計家事平成25年度より:裁判所HP参照)であり、相続全体から見ると少ないです。限定承認の制度が使われにくい背景に何があるのでしょうか。
限定承認をする場合、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所にその旨申述することになります(民法915条1項、924条)。また、申述する際、相続財産の目録を作成し、家庭裁判所に提出する必要があります(民法924条)。また、相続人が複数いる場合には、相続人全員が限定承認する必要があります(民法923条)。限定承認をした後、限定承認した者は、全ての相続債権者及び受遺者に対して限定承認をしたこと、2か月以上の一定期間内に請求の申出をすべきことや、この期間に申出をしなければ弁済から除斥される旨を官報による公告をする必要があります(民法927条1項、2項、4項)。もし、知れている相続債権者及び受遺者がいるのであれば、各別に申出の催告をする必要があります(民法927条3項)。なお、知れている債権者及び受遺者の場合、一定期間内に申出をしなくても弁済から除斥されることはありません(民法927条2項但書)。もし、限定承認者が民法927条の公告や催告を怠たった場合や、一定期間内に一部の相続債権者や受遺者に弁済して他の相続債権者や受遺者に弁済することが出来なかった場合、などの事由が生じたのであれば、限定承認者はこれによって発生した損害を賠償する責任を負うことになります(民法934条1項参照)。
 このように、限定承認をする場合、様々な手続をする必要があることが分かります(民法の条文から見ると、単純承認に関する条文は920条と921条の2個であり、相続放棄に関する条文は938条から940条までの3個であるのに対して、限定承認に関する条文は922条から937条までの16個と多いことが分かります)。わずか3か月の間に財産の目録を作成するという大変な労力がいる作業をするだけでなく、限定承認の申述をした後も相続債権者や受遺者に対して民法927条の手続をしないといけないのです。日本で限定承認の手続が非常に少ないのは、手続きが非常に煩雑であることがその背景にあると考えられます。

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